問題文正答率:50.00%
第1問 失踪宣告に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 不在者の推定相続人は,家庭裁判所に失踪宣告の請求をすることができる。
- 死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が,その危難が去った後1年間明らかでないことを理由として失踪宣告がされた場合には,失踪宣告を受けた者は,その危難が去った時に死亡したものとみなされる。
- 失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAから甲土地を相続したBが,Cに甲土地を売却した後に,Aの失踪宣告が取り消された。この場合において,CがAの生存につき善意であったときは,Bがこれにつき悪意であったとしても,その取消しは,BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼさない。
- 失踪宣告が取り消された場合,失踪宣告によって財産を得た者は,失踪者の生存につき善意であっても,財産を得ることによって受けた利益の全額を失踪者に返還しなければならない。
- 失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAが,失踪宣告が取り消される前に,Bから甲土地を買い受けた場合,この売買契約は,失踪宣告がされたことにつきBが善意であるときに限り効力を有する。
選択肢
ア 正しい。「不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる」(30条1項)。不在者の推定相続人は、「利害関係人」に該当する。
エ 誤り。「失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う」(32条2項)。
イ 正しい。「戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする」(30条2項)。「前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす」(31条)。
オ 誤り。失踪宣告がなされることによって、失踪者の権利能力が失われることはない。したがって、設問の場合、失踪宣告がされたことについてBの善意・悪意を問わず、この売買契約は有効である。
ウ 誤り。「失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さねばならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為に影響を及ぼさない」(32条1項)。大判昭和13年2月7日は、「善意でした行為」といえるためには、法律行為の当事者双方が善意であることを必要とする旨判示している。したがって、設問の場合、CがAの生存につき善意であっても、Bが悪意であれば、BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼす。
エ 誤り。「失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う」(32条2項)。
ウ 誤り。「失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さねばならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為に影響を及ぼさない」(32条1項)。大判昭和13年2月7日は、「善意でした行為」といえるためには、法律行為の当事者双方が善意であることを必要とする旨判示している。したがって、設問の場合、CがAの生存につき善意であっても、Bが悪意であれば、BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼす。
オ 誤り。失踪宣告がなされることによって、失踪者の権利能力が失われることはない。したがって、設問の場合、失踪宣告がされたことについてBの善意・悪意を問わず、この売買契約は有効である。
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問題文正答率:50.00%
第2問 意思表示に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 表意者がその真意ではないことを知って意思表示をした場合において,相手方が,表意者の真意を具体的に知らなくても,その意思表示が表意者の真意ではないことを知り,又は知ることができたときは,その意思表示は無効である。
- 表意者の意思表示がその真意ではないことを理由として無効とされた場合において,その無効は,善意であるが過失がある第三者に対抗することができる。
- 相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は,第三者がその表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った時に善意であれば,その後悪意になったとしても,その第三者に対抗することができない。
- 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合,相手方がその事実を知らなかったとしても,それを知ることができたときは,表意者は,その意思表示を取り消すことができる。
- 強迫による意思表示の取消しは,善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
選択肢
ア 正しい。「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」(93条1項)。「真意」を具体的に知る必要はない。
ウ 正しい。「前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」(93条2項)。最判昭和55年9月11日は、第三者の善意・悪意は、第三者が利害関係を有するに至った時期を基準に判断すべき旨判示している。
ア 正しい。「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」(93条1項)。「真意」を具体的に知る必要はない。
エ 正しい。「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる」(96条2項)。
イ 誤り。「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」(93条)。「第三者」は「善意」であればよく、無過失は要求されない。
ウ 正しい。「前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」(93条2項)。最判昭和55年9月11日は、第三者の善意・悪意は、第三者が利害関係を有するに至った時期を基準に判断すべき旨判示している。
イ 誤り。「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」(93条)。「第三者」は「善意」であればよく、無過失は要求されない。
オ 誤り。「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」(96条1項)。「前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(同条3項)。「強迫」の場合、「詐欺」とは異なり、善意無過失の第三者にも対抗することができる。
エ 正しい。「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる」(96条2項)。
オ 誤り。「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」(96条1項)。「前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(同条3項)。「強迫」の場合、「詐欺」とは異なり、善意無過失の第三者にも対抗することができる。
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問題文正答率:50.00%
第3問 AのBに対する契約の解除の意思表示に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aが未成年者であるBに対して契約を解除する旨の通知書を発送したところ,Bがその通知書を受け取り,Bの法定代理人がその解除の意思表示を知るに至った。この場合,Aは,その意思表示をもってBに対抗することができる。
- Aは,Bに対して契約を解除する旨の通知書を何度も発送したが,Bは,正当な理由なく,その受取を拒んだ。この場合,Aがした解除の意思表示は,到達したものとみなされる。
- Aは,Bに対して契約を解除する旨の通知書を発送した後に死亡し,その後,その通知書がBのもとに到達した。この場合,Aがした解除の意思表示は,その効力を妨げられない。
- Aは,Bに対して契約を解除する旨の通知を電子メールで発信したが,通信システムの不具合によりその通知はBに到達しなかった。この場合,Aがした解除の意思表示は,その効力を生ずる。
- Aは,Bに対して契約を解除する旨の通知書を発送しようとしたが,Bの所在を知らず,公示の方法によって解除の意思表示をした。この場合,Bの所在を知らないことについてAに過失があったとしても,Aがした解除の意思表示は,その効力を生ずる。
選択肢
ア 正しい。「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。一 相手方の法定代理人」(98条の2第1号)。
イ 正しい。「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」(97条2項)。
ア 正しい。「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。一 相手方の法定代理人」(98条の2第1号)。
ウ 正しい。「意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」(97条3項)。
イ 正しい。「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」(97条2項)。
エ 誤り。「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」(97条1項)。
ウ 正しい。「意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」(97条3項)。
オ 誤り。「公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない」(98条3項)。
エ 誤り。「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」(97条1項)。
オ 誤り。「公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない」(98条3項)。
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問題文正答率:50.00%
第4問 期間に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,各記述において言及されている特定の日は,特に記載がない限り,いずれも日曜日,国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たらないものとする。
- ある年の5月16日午後3時に「1週間以内に債務を履行する。」と合意された場合,その期間は,同日午前零時から起算する。
- ある年の6月3日午前10時に「5時間以内に債務を履行する。」と合意された場合,その期間は,同日午前10時から起算する。
- 合意によって定められた期間の末日が日曜日に当たる場合において,その日曜日に取引をする慣習があるときは,その期間は,その日に満了する。
- ある年の7月12日午前11時に「1か月以内に債務を履行する。」と合意された場合,その期間は,同年8月13日午後12時に満了する。
- うるう年ではない年の1月30日午後5時に「1か月以内に債務を履行する。」と合意された場合,その期間は同年2月28日午後12時に満了する。
選択肢
ア 誤り。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。したがって、設問の場合、5月17日から起算することとなる。
ウ 正しい。「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する」(142条)。
ア 誤り。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。したがって、設問の場合、5月17日から起算することとなる。
エ 誤り。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する」(143条2項本文)。したがって、設問の場合、期間は8月12日の終了をもって満了する。
イ 正しい。「時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する」(139条)。
ウ 正しい。「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する」(142条)。
イ 正しい。「時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する」(139条)。
オ 正しい。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月にに応答する日がないときは、その月の末日に満了する」(143条2項)。
エ 誤り。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する」(143条2項本文)。したがって、設問の場合、期間は8月12日の終了をもって満了する。
オ 正しい。「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」(140条本文)。「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月にに応答する日がないときは、その月の末日に満了する」(143条2項)。
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第5問 債権の消滅時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 催告によって時効の完成が猶予されている間に債権者が再度の催告をしたときは,再度の催告の時から6か月を経過するまでの間は,時効は完成しない。
- 時効の利益の放棄は債務者の意思表示のみにより効力を生じ,債権者の同意を要しない。
- 裁判上の請求がされ,その後,その請求に係る訴訟が訴えの取下げによって終了したときは,その終了の時から6か月を経過するまでの間は,時効は完成しない。
- 消滅時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合において,その承認が時効完成の事実を知らずにされたものであるときは,債務者は,承認を撤回して時効を援用することができる。
- 不動産の仮差押えがされたときは,その被保全債権の消滅時効は,その仮差押えの登記がされた時から新たにその進行を始める。
選択肢
ア 誤り。「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。二 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」(150条)。
イ 正しい。時効の利益の放棄は、放棄をなす者の一方的な意思表示による単独行為である。
ア 誤り。「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。二 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」(150条)。
オ 誤り。「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。一 仮差押え」(149条1号)。仮差押えがなされるとは、時効の完成猶予の効果は生じるが、時効の更新の効果は生じない。
イ 正しい。時効の利益の放棄は、放棄をなす者の一方的な意思表示による単独行為である。
ウ 正しい。「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する。)までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求」(147条1項1号)。
ウ 正しい。「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する。)までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求」(147条1項1号)。
エ 誤り。最判昭和41年4月20日は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されない」とする。
エ 誤り。最判昭和41年4月20日は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されない」とする。
オ 誤り。「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。一 仮差押え」(149条1号)。仮差押えがなされるとは、時効の完成猶予の効果は生じるが、時効の更新の効果は生じない。
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第6問 物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 甲土地の所有者Aは,Bが所有する乙土地上に甲土地のための通行地役権の設定を受けた。その後,Bが乙土地上に大型トラック丙を駐車してAによる乙土地の通行を妨げた場合,Aは,Bに対して通行地役権に基づき丙の撤去を請求することができる。
- A,B及びCが甲土地を持分3分の1ずつで共有している場合,Cは単独で,甲土地を何の権原もなく占有するDに対して甲土地の明渡しを請求することができない。
- Aは,Bが所有する甲土地上に何の権原もなく乙建物を建築し,その所有権保存登記がされた。その後,Aが乙建物をCに売却して所有権を移転した場合,Cヘの所有権移転登記がされていなくても,Bは,Cに対して所有権に基づき乙建物の収去を請求することができる。
- Aが所有する甲土地にBのために抵当権が設定され,その登記がされた後,Cは,甲土地上にAが所有する樹木を何の権原もなく伐採し始めた。この場合,Bは,被担保債権の弁済期前であっても,Cに対して伐採の禁止を請求することができる。
- 甲土地に設定された第一順位の抵当権の被担保債務が消滅したにもかかわらずその登記が抹消されていない場合,甲土地の第二順位の抵当権者は,第一順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができない。
選択肢
ア 正しい。地役権は物権であるから、物権的請求権が認められる。そして、物権的請求権の内容として、物権的妨害排除請求権がある。したがって、設問の場合、Aは、Bに対して通行地役権に基づき丙の撤去を請求することができる。
ウ 正しい。物権的妨害排除請求の相手方は、現に妨害状態を生じさせている者である。したがって、設問の場合、Cへの所有権移転登記がされていなくても、Bは、Cに対して所有権に基づき乙建物の収去を請求することができる。
ア 正しい。地役権は物権であるから、物権的請求権が認められる。そして、物権的請求権の内容として、物権的妨害排除請求権がある。したがって、設問の場合、Aは、Bに対して通行地役権に基づき丙の撤去を請求することができる。
オ 誤り。大判昭和15年5月14日は、先順位の抵当権の被担保債務が消滅したにもかかわらず登記がある場合に、後順位抵当権者からの抹消請求が認められる旨判示している。したがって、設問の場合、甲土地の第二順位の抵当権者は、第一順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができる。
イ 誤り。「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」(252条5項)。不法占有者に対する共有物の返還請求は、「保存行為」として各共有者に認められる。したがって、設問の場合、Cは単独で、甲土地を何の権限もなく占有するDに対して甲土地の明渡しを請求することができる。
エ 正しい。大判昭和6年10月21日は、抵当物に対する侵害がなされようとしている場合、抵当権の被担保債権が弁済期にあるか否かを問わず、また、抵当権の実行に着手したかどうかに関わらず、抵当権者からの妨害排除請求が認められる旨判示している。したがって、設問の場合、Bは、被担保債権の弁済期前であっても、Cに対して伐採の禁止を請求することができる。
イ 誤り。「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」(252条5項)。不法占有者に対する共有物の返還請求は、「保存行為」として各共有者に認められる。したがって、設問の場合、Cは単独で、甲土地を何の権限もなく占有するDに対して甲土地の明渡しを請求することができる。
オ 誤り。大判昭和15年5月14日は、先順位の抵当権の被担保債務が消滅したにもかかわらず登記がある場合に、後順位抵当権者からの抹消請求が認められる旨判示している。したがって、設問の場合、甲土地の第二順位の抵当権者は、第一順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができる。
ウ 正しい。物権的妨害排除請求の相手方は、現に妨害状態を生じさせている者である。したがって、設問の場合、Cへの所有権移転登記がされていなくても、Bは、Cに対して所有権に基づき乙建物の収去を請求することができる。
エ 正しい。大判昭和6年10月21日は、抵当物に対する侵害がなされようとしている場合、抵当権の被担保債権が弁済期にあるか否かを問わず、また、抵当権の実行に着手したかどうかに関わらず、抵当権者からの妨害排除請求が認められる旨判示している。したがって、設問の場合、Bは、被担保債権の弁済期前であっても、Cに対して伐採の禁止を請求することができる。
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問題文正答率:50.00%
第7問 物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aは,その所有する甲土地上に,Bのために第一順位の抵当権を,Cのために第二順位の抵当権をそれぞれ設定し,その登記がされた。その後,Cが甲土地をAから相続によって取得した場合であっても,第二順位の抵当権は混同により消滅しない。
- Aがその所有する甲土地をBに売却した後,Bが甲土地をCに転売し,それぞれその旨の登記がされた。その後,Aは詐欺を理由としてBとの売買契約を取り消した。Cは,Aの売買の意思表示が詐欺によることを過失なく知らなかった場合,甲土地の所有権の取得を妨げられない。
- AとBが,甲建物及びその敷地である乙土地をそれぞれ共有していたところ,乙土地のAの共有持分に抵当権が設定された。その後,その抵当権が実行され,Cがそれを買い受けた場合,甲建物のために乙土地上に地上権が成立する。
- Aがその所有する甲土地をBに売却した後,Bが甲土地をCに転売し,それぞれその旨の登記がされた。その後,AとBとの間の売買契約は,Aが成年被後見人であることを理由として取り消された。Cが,Aが成年被後見人であったことを過失なく知らなかった場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権が自己にあることを主張することができない。
- 地役権の要役地の所有権を単独で相続した者は,地役権設定行為に別段の定めがないときは,その土地の地役権も相続する。
選択肢
ア 誤り。「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない」(179条1項)。179条1項ただし書は混同の例外を規定しているが、その物が第三者の権利の目的となっていても、物権を存続させる実益がなければ、混同が生じ物権は消滅する。設問において、Cの有する抵当権は第二順位であるため、当該抵当権を存続させる実益はない。したがって、設問の場合、第二順位の抵当権は消滅する。
ウ 誤り。最判平成6年12月20日は、「土地共有者の一人だけについて民法三八八条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法廷地上権は成立しない」とする。したがって、設問の場合、甲建物のために乙土地上に地上権は成立しない。
ア 誤り。「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない」(179条1項)。179条1項ただし書は混同の例外を規定しているが、その物が第三者の権利の目的となっていても、物権を存続させる実益がなければ、混同が生じ物権は消滅する。設問において、Cの有する抵当権は第二順位であるため、当該抵当権を存続させる実益はない。したがって、設問の場合、第二順位の抵当権は消滅する。
エ 誤り。「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」(121条)。したがって、設問の場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権が自己にあることを主張することができる。
イ 正しい。「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」(96条1項)。「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(同条3項)。したがって、設問の場合、Cは、甲土地の所有権の取得を妨げられない。
ウ 誤り。最判平成6年12月20日は、「土地共有者の一人だけについて民法三八八条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法廷地上権は成立しない」とする。したがって、設問の場合、甲建物のために乙土地上に地上権は成立しない。
イ 正しい。「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」(96条1項)。「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(同条3項)。したがって、設問の場合、Cは、甲土地の所有権の取得を妨げられない。
オ 正しい。「地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」(281条1項)。
エ 誤り。「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」(121条)。したがって、設問の場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権が自己にあることを主張することができる。
オ 正しい。「地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」(281条1項)。
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問題文正答率:50.00%
第8問 占有権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aが自己所有の甲土地につき宅地造成工事を開始したために,隣接する乙土地に危険が生じている場合,乙土地に居住するBは,工事開始時から1年が経過したときであっても,工事が完成する前であれば,Aに対して占有保全の訴えを提起することができる。
- Aが占有していた動産甲をBが奪取した場合において,Bが甲の所有者であることが明らかになったときは,Aによる占有回収の訴えは認められない。
- AがB所有の動産甲を無断でCに賃貸した後,Cの責めに帰すべき事由によって甲が損傷した場合,Bから甲の返還を求められたCは,甲の所有者がAであると過失なく信じていたとしても,その損害の全部の賠償をしなければならない。
- Aが,自己が占有する動産甲をBに売却し,甲を以後Bのために占有する旨の意思を表示したときは,Bは,甲の占有権を取得する。
- 動産甲をその所有者Aから賃借して占有していたBが,Aとの間で,Aから甲を買い受けてAの占有権を譲り受ける旨の合意をしたときは,Bの占有は,自主占有となる。
選択肢
ア 誤り。「占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する」(201条2項)。「工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない」(同条1項ただし書)。したがって、設問の場合、Bは、工事開始時から1年が経過したときは、工事が完成する前でも、Aに対し占有保全の訴えを提起することはできない。
イ 誤り。「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」(202条2項)。したがって、設問の場合、Bが甲の所有者であることが明らかになっても、Aによる占有回収の訴えは認められる。
ア 誤り。「占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する」(201条2項)。「工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない」(同条1項ただし書)。したがって、設問の場合、Bは、工事開始時から1年が経過したときは、工事が完成する前でも、Aに対し占有保全の訴えを提起することはできない。
ウ 正しい。「占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない」(191条)。そして、賃借人は、「所有の意思のない占有者」に該当する。
イ 誤り。「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」(202条2項)。したがって、設問の場合、Bが甲の所有者であることが明らかになっても、Aによる占有回収の訴えは認められる。
オ 正しい。「譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる」(182条2項)。
ウ 正しい。「占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない」(191条)。そして、賃借人は、「所有の意思のない占有者」に該当する。
エ 正しい。「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する」(183条)。
エ 正しい。「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する」(183条)。
オ 正しい。「譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる」(182条2項)。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第9問 共有に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 金塊の共有者は,分割をしない旨の契約をしていない場合には,いつでも,その動産の分割を請求することができる。
- 共有物分割訴訟においては,共有者の全員が当事者とならなければならない。
- 共有物の分割を求める裁判において共有物の現物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命じなければならない。
- 各共有者は,他の共有者が共有物の分割によって取得した物について,その持分に応じて担保の責任を負う。
- 共有者の一人が,その持分を譲渡するためには,他の共有者の同意を得なければならない。
選択肢
ア 正しい。「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」(256条1項本文)。
エ 正しい。「各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物のついて、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う」(261条)。
ア 正しい。「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」(256条1項本文)。
オ 誤り。持分権は、各共有者個々の権利であり、他の共有者の同意を得ることなく、いつでも譲渡することができる。
イ 正しい。大判大正12年12月17日は、共有物分割の訴えを、固有必要的共同訴訟と判断している。
ウ 誤り。「2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。一 共有物の現物を分割する方法二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法 3前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる」(258条2項、3項)。「競売を命ずることができる」のであって、競売を命じなければならないわけではない。
イ 正しい。大判大正12年12月17日は、共有物分割の訴えを、固有必要的共同訴訟と判断している。
エ 正しい。「各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物のついて、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う」(261条)。
ウ 誤り。「2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。一 共有物の現物を分割する方法二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法 3前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる」(258条2項、3項)。「競売を命ずることができる」のであって、競売を命じなければならないわけではない。
オ 誤り。持分権は、各共有者個々の権利であり、他の共有者の同意を得ることなく、いつでも譲渡することができる。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第10問 留置権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 留置権者が留置権を行使して目的物を留置している間は,留置権の被担保債権の消滅時効は,進行しない。
- 賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは,賃貸借終了後,その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に,更にAの負担に属する必要費を支出した場合には,更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで,留置権を行使することができる。
- 留置権者は,債務者の承諾を得て留置物を第三者に賃貸してその賃料を自己の債権の弁済に充当することができる。
- 建物の賃借人は,造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権を被担保債権として,建物について留置権を行使することができる。
- 建物の賃借人が,賃貸借終了後,有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使している場合において,賃貸人の請求により裁判所がその償還について期限を許与したときは,留置権は消滅する。
選択肢
ア 誤り。「留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない」(300条)。
ウ 正しい。「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる」(297条1項)。「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない」(298条2項本文)。
ア 誤り。「留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない」(300条)。
エ 誤り。最判昭和29年1月14日は、造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権であり、建物に関して生じた債権ではない旨判示して、建物の賃借人が、造作買取請求権を行使して建物について留置権を行使することを認めない。
イ 正しい。最判昭和33年1月17日は、留置権者が必要費の償還請求権を被担保債権として建物を留置中に、必要費、有益費を支出してその償還請求権を有するときは、その償還請求権について留置権の発生を妨げない旨判示している。
ウ 正しい。「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる」(297条1項)。「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない」(298条2項本文)。
イ 正しい。最判昭和33年1月17日は、留置権者が必要費の償還請求権を被担保債権として建物を留置中に、必要費、有益費を支出してその償還請求権を有するときは、その償還請求権について留置権の発生を妨げない旨判示している。
オ 正しい。「留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる。裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」(299条2項)。「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない」(295条1項)。
エ 誤り。最判昭和29年1月14日は、造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権であり、建物に関して生じた債権ではない旨判示して、建物の賃借人が、造作買取請求権を行使して建物について留置権を行使することを認めない。
オ 正しい。「留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる。裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」(299条2項)。「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない」(295条1項)。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第11問 AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され,その登記がされている。この場合における抵当権に基づくCの物上代位権の行使に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Cのための抵当権の設定登記がされた後にBがAに対して金銭を貸し付け,その貸金債権の弁済期が到来した場合,AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした後であっても,Bは,Aに対する貸金債権を自働債権とし,Aの賃料債権を受働債権とする相殺をもって,Cに対抗することができる。
- AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした場合において,BがCに賃料を支払わないままAB間の賃貸借契約が終了し,Bが甲建物をAに明け渡した。この場合において,BがAにあらかじめ敷金を預託していたときは,Cが差し押さえた賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する。
- Bが甲建物をDに転貸した場合,Cは,BをAと同視することが相当であるときを除き,BのDに対する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができる。
- AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえて転付命令を取得し,その転付命令がBに送達された後は,Cは,同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。
- AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえ,その差押命令がBに送達された後に,AがCのために甲建物に抵当権を設定し,その登記がされた場合,Cは,同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。
選択肢
ア 誤り。最判平成13年3月13日は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない」とする。
イ 正しい。最判平成14年3月28日は、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する」とする。
ア 誤り。最判平成13年3月13日は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない」とする。
ウ 誤り。最判平成12年4月14日は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」とする。
イ 正しい。最判平成14年3月28日は、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する」とする。
エ 正しい。最判平成14年3月12日は、「転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできない」とする。
ウ 誤り。最判平成12年4月14日は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」とする。
オ 正しい。最判平成10年3月26日は、「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ」るとする。
エ 正しい。最判平成14年3月12日は、「転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできない」とする。
オ 正しい。最判平成10年3月26日は、「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ」るとする。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第12問 動産質権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 同一の動産について,複数の動産質権を設定することはできない。
- 動産質権者は,質権設定者に,自己に代わって質物を占有させることができない。
- 動産質権者は,占有している質物について必要費を支出しても,所有者にその償還を請求することはできない。
- 動産質権者は,被担保債権の弁済を受けないときは,正当な理由がある場合に限り,鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
- 動産質権者は,被担保債権について利息を請求する権利を有するときは,その満期となった最後の2年分についてのみ,その質権を行使することができる。
選択肢
ア 誤り。「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による」(355条)。
エ 正しい。「動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる」(354条本文)。
ア 誤り。「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による」(355条)。
オ 誤り。「質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」(346条)。
イ 正しい。「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」(345条)。
ウ 誤り。「第二九六条から第三〇〇条まで及び第三〇四条の規定は、質権について準用する」(350条)。「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる」(299条1項)。
イ 正しい。「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」(345条)。
エ 正しい。「動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる」(354条本文)。
ウ 誤り。「第二九六条から第三〇〇条まで及び第三〇四条の規定は、質権について準用する」(350条)。「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる」(299条1項)。
オ 誤り。「質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」(346条)。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第13問 抵当権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 土地に抵当権が設定された後にその土地上に建物が築造された場合,抵当権者は,抵当権が設定されていない当該建物をその土地とともに一括して競売することができる。
- 甲土地の所有権が自己にあると過失なく信じて10年間その占有を継続した者は,甲土地上の抵当権の存在につき悪意であったときは,甲土地の所有権を時効取得することができない。
- Aが甲土地を賃借したが,その対抗要件を具備しない間に,甲土地にBのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aは,この登記がされた後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,甲土地を継続的に用益したとしても,競売により甲土地を買い受けたCに対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することができない。
- AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後,所有権移転登記がされることのないまま,甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合は,AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても,Cの抵当権は消滅する。
- 債務の弁済と,当該債務の担保として設定された抵当権の設定登記の抹消登記手続とは,同時履行の関係に立つ。
選択肢
ア 正しい。「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる」(389条1項本文)。
ウ 正しい。最判平成23年1月21日は、「不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することはできない」とする。
ア 正しい。「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる」(389条1項本文)。
エ 誤り。最判平成24年3月16日は、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅する」とする。
イ 誤り。最判昭和42年12月24日は、「民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、占有の目的物件に対し抵当権が設定されていること、さらには、その設定登記も経由されていることを知り、または、不注意により知らなかったような場合でも、ここにいう善意・無過失の占有というを妨げない」とする。
ウ 正しい。最判平成23年1月21日は、「不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することはできない」とする。
イ 誤り。最判昭和42年12月24日は、「民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、占有の目的物件に対し抵当権が設定されていること、さらには、その設定登記も経由されていることを知り、または、不注意により知らなかったような場合でも、ここにいう善意・無過失の占有というを妨げない」とする。
オ 誤り。最判昭和57年1月19日は、「債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは前者が後者に対し先履行の関係にあるものであって、同時履行の関係に立つものではない」とする。
エ 誤り。最判平成24年3月16日は、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅する」とする。
オ 誤り。最判昭和57年1月19日は、「債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは前者が後者に対し先履行の関係にあるものであって、同時履行の関係に立つものではない」とする。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第14問 AがBに対する債務を担保するために,Aの所有する甲土地に第一順位の抵当権を設定し,その登記がされた。この場合における抵当権の処分に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Bが,Cに対する債務を担保するために,甲土地の抵当権に転抵当権を設定したときは,Aに対する通知又はAの承諾がなければ,Cは,転抵当権の設定を受けたことをAに対抗することができない。
- BがAの一般債権者Dに対してその抵当権を譲渡するには,Aの承諾を必要としない。
- Aが,甲土地について,Eのために第二順位の抵当権,Fのために第三順位の抵当権を設定し,その登記がされている場合において,BF間で抵当権の順位の変更が合意されたとき,その登記をしなければ変更の効力は生じない。
- Aが,甲土地について,Gのために第二順位の抵当権,Hのために第三順位の抵当権を設定し,その登記がされている場合において,BのHに対する抵当権の順位の譲渡は,その登記をしなければ譲渡の効力は生じない。
- Aが,甲土地について,Iのために第二順位の抵当権を設定し,その登記がされている場合において,BがIに対して抵当権の順位の放棄をしたときは,甲土地が競売されたときの配当において,IがBに優先する。
選択肢
ア 正しい。「前条の場合には、第四六七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない」(377条1項)。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。
ウ 正しい。「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる」(374条1項本文)。「前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない」(同条2項)
ア 正しい。「前条の場合には、第四六七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない」(377条1項)。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。
オ 誤り。抵当権の順位の放棄がなされた場合、順位を放棄した先順位抵当権者と順位の放棄を受けた後順位抵当権者は、それぞれの債権額に応じて、按分により配当を受けることになる。
イ 正しい。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。
ウ 正しい。「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる」(374条1項本文)。「前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない」(同条2項)
イ 正しい。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。
エ 誤り。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。抵当権の順位の譲渡について、登記をしなければ効力が生じない旨の規定はない。
エ 誤り。「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(376条1項)。抵当権の順位の譲渡について、登記をしなければ効力が生じない旨の規定はない。
オ 誤り。抵当権の順位の放棄がなされた場合、順位を放棄した先順位抵当権者と順位の放棄を受けた後順位抵当権者は、それぞれの債権額に応じて、按分により配当を受けることになる。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第15問 債務不履行による損害賠償に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 債務不履行に関して債権者に過失があった場合には,裁判所は,これを考慮して損害賠償の責任自体を否定することができる。
- 金銭消費貸借契約による借入金返還債務の不履行に基づく損害賠償について,債務者は,不可抗力を理由として責任を免れることはできない。
- 特別の事情によって生じた損害については,当事者がその事情を現に予見していたときに限り,債権者は,その賠償を請求することができる。
- 債務不履行による損害賠償は,金銭の支払以外の方法によってすることはできない。
- 債権者が,損害賠償として,その債権の目的である物の価額の全部の支払を受けた場合,債務者は,債権者に対してその物に関する権利を取得する旨の意思表示をしなければ,その物に関する権利を取得することができない。
選択肢
ア 正しい。「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」(418条)。
イ 正しい。「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める」(419条1項)。「第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」(同条3項)。
ア 正しい。「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」(418条)。
ウ 誤り。「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」(416条2項)。
イ 正しい。「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める」(419条1項)。「第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」(同条3項)。
オ 誤り。「債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する」(422条)。
ウ 誤り。「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」(416条2項)。
エ 誤り。「損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める」(417条)。
エ 誤り。「損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める」(417条)。
オ 誤り。「債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する」(422条)。
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第16問 債務不履行による損害賠償についての契約条項に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 債務者は,一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも,債務者が故意に債務を履行しなかったときには,当該免責条項による免責が認められない。
- 損害賠償の額を予定する条項がある場合には,過失相殺による減額がされることはない。
- 定型約款中に損害賠償の額を予定する条項があって,定型約款準備者の相手方が,定型取引合意前に定型約款の内容を示すよう請求したにもかかわらず,定型約款準備者が正当な事由なくこれに応じないまま,定型取引合意がされたときは,当該条項は,合意されたものとはみなされない。
- 債務不履行について履行に代わる損害賠償の額を予定した場合において,債務者からその予定額の支払の申出があったときでも,債権者は債務不履行を理由とする解除権の行使を妨げられない。
- 違約金を定める条項は,実損害の賠償とは別に一定額の金銭を支払う旨の違約罰を定める条項であると推定される。
選択肢
ア 正しい。最判平成15年2月28日は、ホテルの宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなったものが滅失、棄損などしたときに、ホテルの損害賠償範囲を制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されることはない旨判示している。
ウ 正しい。「定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない」(548条の3第1項本文)。「定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は適用しない」(同条2項本文)。同条2項本文に規定する「前条の規定」とは、定型約款の合意に関する規定である。
ア 正しい。最判平成15年2月28日は、ホテルの宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなったものが滅失、棄損などしたときに、ホテルの損害賠償範囲を制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されることはない旨判示している。
エ 正しい。「賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない」(420条2項)。
イ 誤り。最判平成6年4月21日は、「当事者が民法四二〇条一項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべき」とする。
ウ 正しい。「定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない」(548条の3第1項本文)。「定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は適用しない」(同条2項本文)。同条2項本文に規定する「前条の規定」とは、定型約款の合意に関する規定である。
イ 誤り。最判平成6年4月21日は、「当事者が民法四二〇条一項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべき」とする。
オ 誤り。「違約金は、賠償額の予定と推定する」(420条3項)。
エ 正しい。「賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない」(420条2項)。
オ 誤り。「違約金は、賠償額の予定と推定する」(420条3項)。
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第17問 債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 債権者が債務者に属する権利を行使するためには,被保全債権がその権利の発生の前の原因に基づいて生じたものでなければならない。
- 債権者は,債務者に属する権利であって差押えを禁じられたものについては,行使することができない。
- 債権者は,被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは,遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならない。
- 債権者は,債務者が第三者に対して負う債務に係る消滅時効の援用権を代位行使することができない。
- 債権者が被代位権利の行使の事実を債務者に通知した場合であっても,債務者は被代位権利を行使することができる。
選択肢
ア 誤り。「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない」(423条2項本文)。
イ 正しい。「債権者は、自己の権利を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身の専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」(423条1項)。
ア 誤り。「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない」(423条2項本文)。
エ 誤り。最判昭和43年9月26日は、債権者は、自己の債権を保全するため必要な限度で、債務者に代位して、債務者の他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができる旨判示している。
イ 正しい。「債権者は、自己の権利を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身の専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」(423条1項)。
オ 正しい。「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない」(423条の5前段)。
ウ 正しい。「債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない」(423条の6)。
エ 誤り。最判昭和43年9月26日は、債権者は、自己の債権を保全するため必要な限度で、債務者に代位して、債務者の他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができる旨判示している。
ウ 正しい。「債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない」(423条の6)。
オ 正しい。「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない」(423条の5前段)。
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第18問 A,B及びCの三人がDに対して連帯して600万円の金銭債権を有する場合(A,B及びCの分与されるべき利益は等しいものとする。)に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aは,Dに対して600万円全額の請求をするに当たり,B及びCの同意を得ることを要しない。
- AがDに対して債権の全部を免除した場合であっても,BはDに対して400万円の限度で支払を請求することができる。
- AのDに対する権利が時効により消滅したが,BのDに対する権利については消滅時効が完成していない場合,Bは,Dに対して600万円の支払を請求することができる。
- DがAに対して300万円の金銭債権を有している場合において,DがAに対して相殺を援用したときは,その相殺は200万円の限度で効力を生ずる。
- CがDを単独で相続した場合には,Aは,Cに対して400万円の支払を請求することができる。
選択肢
ア 正しい。「債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる」(432条)。
イ 正しい。「連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない」(433条)。
ア 正しい。「債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる」(432条)。
オ 誤り。「連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす」(435条)。したがって、設問の場合、CがDから600万円を受け取った場合と同様に、AはCに対し、200万円の支払を請求することができる。
イ 正しい。「連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない」(433条)。
ウ 正しい。「第四三二条から前条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力は生じない」(435条の2本文)。時効は、「第四三二条から前条まで」までに規定されていないので、相対的効力事由となる。
ウ 正しい。「第四三二条から前条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力は生じない」(435条の2本文)。時効は、「第四三二条から前条まで」までに規定されていないので、相対的効力事由となる。
エ 誤り。「債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる」(434条)。したがって、設問の場合、相殺は300万円全額について効力を生ずる。
エ 誤り。「債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる」(434条)。したがって、設問の場合、相殺は300万円全額について効力を生ずる。
オ 誤り。「連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす」(435条)。したがって、設問の場合、CがDから600万円を受け取った場合と同様に、AはCに対し、200万円の支払を請求することができる。
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第19問 個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aが,Bの委託を受けて,Bの事業に係る債務を保証しようとする場合,Bは,保証契約の締結に当たり,Aに対し,Bの財産及び収支の状況について情報を提供しなければならない。
- Bの債務がBの事業のために負担した貸金債務である場合,AC間の保証契約は,Aが保証債務を履行する意思を保証契約の締結後速やかに公正証書で表示することにより,その効力を生ずる。
- Aが,Bの委託を受けて保証した場合,Cは,定期的に,Aに対し,主たる債務の元本及び利息について,不履行の有無,残額及び弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
- Bがその有していた期限の利益を喪失した場合,Cは,Aに対し,その旨を通知しなければならない。
- Aの保証が根保証である場合,極度額が定められなければ,その効力は生じない。
選択肢
ア 正しい。「主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。一 財産及び収支の状況」(465条の10第1項第1号)。
ウ 誤り。「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない」(458条の2)。したがって、設問の場合、Cは、Aの「請求があったとき」は、Aに対し、設問に記載のある情報を提供しなければならない。
ア 正しい。「主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。一 財産及び収支の状況」(465条の10第1項第1号)。
オ 正しい。「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」(465条の2)。
イ 誤り。「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示しなければ、その効力を生じない」(465条の6第1項)。したがって、設問の場合、AC間の保証契約は、Aが保証債務を履行する意思を保証契約の締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で表示しなければ、その効力を生じない。
ウ 誤り。「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない」(458条の2)。したがって、設問の場合、Cは、Aの「請求があったとき」は、Aに対し、設問に記載のある情報を提供しなければならない。
イ 誤り。「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示しなければ、その効力を生じない」(465条の6第1項)。したがって、設問の場合、AC間の保証契約は、Aが保証債務を履行する意思を保証契約の締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で表示しなければ、その効力を生じない。
エ 正しい。「主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない」(458条の3第1項)。
エ 正しい。「主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない」(458条の3第1項)。
オ 正しい。「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」(465条の2)。
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問題文正答率:50.00%
第20問 債務引受に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 債務者が負担する債務の発生原因行為を債務者が詐欺を理由に取り消すことができる場合でも,引受人は,債権者に対して債務の履行を拒むことはできない。
- 併存的債務引受は,債務者の意思に反する場合であっても,債権者と引受人となる者との契約により有効に成立する。
- 債務者と引受人となる者との間で免責的債務引受契約がされたときは,債権者への通知又は債権者の承諾により,その効力を債権者に対抗することができる。
- 併存的債務引受において,引受人は,引き受けた債務を弁済した場合,債務者に対し,弁済額のうち債務者の負担部分に応じた額を求償することができる。
- 免責的債務引受において,債権者は,債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を,引受人が負担する債務に移すことはできない。
選択肢
ア 誤り。「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これらの権利の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」(471条2項)。「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」(472条の2第2項)。なお、471条2項は、併存的債務引受に関する規定である。
ウ 誤り。「免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる」(472条3項)。
ア 誤り。「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これらの権利の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」(471条2項)。「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」(472条の2第2項)。なお、471条2項は、併存的債務引受に関する規定である。
オ 誤り。「債権者は、第四七二条第一項の規定により債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができる」(472条の4第1項)。なお、472条1項は、免責的債務引受に関する規定である。
イ 正しい。「併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる」(470条2項)。
ウ 誤り。「免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる」(472条3項)。
イ 正しい。「併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる」(470条2項)。
エ 正しい。「併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する」(470条1項)。「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する」(442条1項)。
エ 正しい。「併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する」(470条1項)。「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する」(442条1項)。
オ 誤り。「債権者は、第四七二条第一項の規定により債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができる」(472条の4第1項)。なお、472条1項は、免責的債務引受に関する規定である。
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問題文正答率:50.00%
第21問 AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)との相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 甲債権と乙債権の両方の弁済期が到来した後,甲債権がAからCに譲渡され,その対抗要件が具備された。この場合において,Bは,CがBのCに対する金銭債権(丙債権)と甲債権とを相殺した後であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することができる。
- 乙債権は,Aの債権者であるDが甲債権を差し押さえた後に,Bが他人から譲り受けたものであった。この場合,乙債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるとしても,Bは,乙債権と甲債権との相殺をもってDに対抗することができない。
- 甲債権は,Bの悪意による不法行為に基づいて生じたEのBに対する損害賠償債権を,AがEから譲り受けたものであった。この場合,Bは,乙債権と甲債権との相殺をもってAに対抗することができる。
- 甲債権の弁済期が到来した後に,Aの債権者であるFが甲債権を差し押さえた場合には,Bは,差押え前に取得していた乙債権の弁済期到来前であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってFに対抗することができる。
- Aが甲債権をGに譲渡し,その対抗要件が具備された後,Bが乙債権を取得した。この場合において,Bは,乙債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいてAB間で生じた債権であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってGに対抗することができない。
選択肢
ア 誤り。「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる」(506条)。したがって、設問の場合、CがBのCに対する丙債権と甲債権とを相殺したことにより、甲債権は消滅するので、乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することはできない。
イ 正しい。「差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない」(511条)。
ア 誤り。「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる」(506条)。したがって、設問の場合、CがBのCに対する丙債権と甲債権とを相殺したことにより、甲債権は消滅するので、乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することはできない。
オ 誤り。「債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権」(469条1項、2項1号)。したがって、設問の場合、Bは、乙債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいてABで生じた債権であれば、乙債権と甲債権との相殺をもってGに対抗することができる。
イ 正しい。「差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない」(511条)。
ウ 正しい。「次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務を他人から譲り受けたときは、この限りでない。一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」(509条1号)。
ウ 正しい。「次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務を他人から譲り受けたときは、この限りでない。一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」(509条1号)。
エ 誤り。「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債権者は、その対抗額について相殺によってその債務を免れることができる」(505条1項本文)。
エ 誤り。「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債権者は、その対抗額について相殺によってその債務を免れることができる」(505条1項本文)。
オ 誤り。「債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権」(469条1項、2項1号)。したがって、設問の場合、Bは、乙債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいてABで生じた債権であれば、乙債権と甲債権との相殺をもってGに対抗することができる。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第22問 契約の解除に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 解除権を有する者が,過失によって契約の目的物を返還することができなくなった場合には,自身が解除権を有することを知らなかったとしても,解除権は消滅する。
- 契約の性質又は当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約の目的を達成することができない債務について,債務者が履行をしないでその時期を経過したときは,契約の解除をすることなく,当該債務は当然にその効力を失う。
- 債務の一部の履行が不能である場合において,残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときは,債権者は,催告をすることなく,直ちに契約の全部の解除をすることができる。
- 解除権の行使について期間の定めがない場合において,相手方が,解除権を有する者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず,当該期間内に解除の通知を受けないときは,解除権は消滅する。
- 解除権が行使された場合の原状回復において,金銭以外の物を返還するときは,その物を受領した時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
選択肢
ア 誤り。「解除権を有する者が故意又は過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない」(548条)。したがって、設問の場合、自身が解除権を有することを知らなければ、解除権は消滅しない。
イ 誤り。「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき」(542条1項4号)。したがって、設問の場合、契約の解除をしなければ、当該債務の効力は失われない。
ア 誤り。「解除権を有する者が故意又は過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない」(548条)。したがって、設問の場合、自身が解除権を有することを知らなければ、解除権は消滅しない。
ウ 正しい。「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき」(542条1項3号)。
イ 誤り。「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき」(542条1項4号)。したがって、設問の場合、契約の解除をしなければ、当該債務の効力は失われない。
エ 正しい。「解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する」(547条)。
ウ 正しい。「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき」(542条1項3号)。
オ 正しい。「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない」(545条1項、3項)。
エ 正しい。「解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する」(547条)。
オ 正しい。「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない」(545条1項、3項)。
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問題文正答率:50.00%
第23問 AB間の売買契約において,売主Aが買主Bに対して引き渡した目的物の数量が不足しており,契約の内容に適合しない場合の買主Bの権利に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 数量の不足がABいずれの責めにも帰することができない事由によって生じた場合,BはAB間の売買契約を解除することができない。
- 数量の不足がBの責めに帰すべき事由によって生じた場合,BはAB間の売買契約を解除することができない。
- 数量の不足がBの責めに帰すべき事由によって生じた場合,不足分の引渡しが可能であっても,Bは不足分の引渡しを請求することができない。
- 不足分の引渡しが可能であり,Aがその引渡しを申し出た場合であっても,Bは,その申出を拒んで直ちに代金の減額を請求することができる。
- Bが数量の不足を知った時から1年以内にその旨をAに通知しない場合には,Aが引渡しの時に数量の不足を知り又は重大な過失によって知らなかったときを除き,Bは損害賠償の請求をすることができない。
選択肢
ア 誤り。「前二条の規定は、第四一五条の規定による損害賠償の請求並びに第五四一条及び第五四二条の規定による解除権の行使を妨げない」(564条)。541条は催告による解除、542条は催告によらない解除に関する規定であるが、いずれも債務者の帰責事由の存在を必要とはしていない。なお、「前二条の規定」の規定は、契約不適合がある場合における買主の追完請求権、買主の代金減額請求権に関する規定である。
ウ 正しい。「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完をすることができない」(562条)。
ア 誤り。「前二条の規定は、第四一五条の規定による損害賠償の請求並びに第五四一条及び第五四二条の規定による解除権の行使を妨げない」(564条)。541条は催告による解除、542条は催告によらない解除に関する規定であるが、いずれも債務者の帰責事由の存在を必要とはしていない。なお、「前二条の規定」の規定は、契約不適合がある場合における買主の追完請求権、買主の代金減額請求権に関する規定である。
エ 誤り。「前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」(563条1項)。「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」(562条1項本文)。したがって、設問の場合、Bは、その申出を拒んで直ちに代金の減額を請求することはできない。
イ 正しい。「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない」(543条)。
ウ 正しい。「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完をすることができない」(562条)。
イ 正しい。「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない」(543条)。
オ 誤り。「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない」(566条)。期間の制限の対象となるのは、「種類又は品質」に関するものに限られる。
エ 誤り。「前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」(563条1項)。「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」(562条1項本文)。したがって、設問の場合、Bは、その申出を拒んで直ちに代金の減額を請求することはできない。
オ 誤り。「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない」(566条)。期間の制限の対象となるのは、「種類又は品質」に関するものに限られる。
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問題文正答率:50.00%
第24問 贈与に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 死因贈与は,書面によることを要せず,当事者の合意のみで成立する。
- 贈与者は,特約のない限り,目的物が特定した時の状態でこれを引き渡せば足りる。
- 受贈者は,贈与契約が書面によらない場合であっても,履行の終わっていない部分について贈与契約を解除することができない。
- 負担付贈与においては,贈与者は,受贈者がその負担である義務の履行を怠ったことを理由として,贈与契約を解除することができない。
- 登記された建物が書面によらずに贈与された場合,贈与者は,受贈者への目的物の引渡し及び所有権移転登記の双方がされるまでは,贈与契約を解除することができる。
選択肢
ア 正しい。最判昭和32年5月21日は、死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はない旨判示している。「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」(554条)。
イ 正しい。「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」(551条1項)。
ア 正しい。最判昭和32年5月21日は、死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はない旨判示している。「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」(554条)。
ウ 誤り。「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」(550条)。したがって、設問の場合、受贈者は、履行の終わっていない部分について贈与契約を解除することができる。
イ 正しい。「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」(551条1項)。
オ 誤り。最判昭和40年3月26日は、「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終わったもの解すべき」とする。又、最判昭和31年1月27日は、書面によらない不動産の贈与において、所有権の移転があっただけでは履行が終わったとすることはできないが、占有の移転があれば履行が終わったと解すべき旨判示している。
ウ 誤り。「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」(550条)。したがって、設問の場合、受贈者は、履行の終わっていない部分について贈与契約を解除することができる。
エ 誤り。「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」(553条)。したがって、設問の場合、541条、542条に基づき、贈与契約を解除することができる。
エ 誤り。「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」(553条)。したがって、設問の場合、541条、542条に基づき、贈与契約を解除することができる。
オ 誤り。最判昭和40年3月26日は、「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終わったもの解すべき」とする。また、最判昭和31年1月27日は、書面によらない不動産の贈与において、所有権の移転があっただけでは履行が終わったとすることはできないが、占有の移転があれば履行が終わったと解すべき旨判示している。
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第25問 Aは,Bとの間で,Aが所有する甲建物をBに使用させる旨の使用貸借契約を締結した。この場合におけるAB間の法律関係について述べた次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Bは,Aの承諾がなくても,甲建物を第三者に使用させることができる。
- AB間の使用貸借契約が書面によるものでないときは,Aは,甲建物をBに引き渡すまでは,いつでもその契約を解除することができる。
- Bは,甲建物について通常の必要費を支出したときは,その必要費をAに請求することができる。
- AB間の使用貸借契約は,Bが展示会乙を開催することを目的とするものであった場合には,貸借期間を合意で決めていなかったとしても,展示会乙の会場としての使用を終えることによって終了する。
- Bは,甲建物を使用するに当たり,その壁面に取り外しができる棚を造り付けた。Bは,使用貸借契約が終了したときは,その取り外しに過分の費用を要するのでない限り,その棚を収去しなければならない。
選択肢
ア 誤り。「借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない」(594条2項)。
ウ 誤り。「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」(595条1項)。
ア 誤り。「借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない」(594条2項)。
オ 正しい。「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない」(599条1項)。
イ 正しい。「貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない」(593条の2)。
エ 正しい。「当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する」(597条2項)。
イ 正しい。「貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない」(593条の2)。
オ 正しい。「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない」(599条1項)。
ウ 誤り。「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」(595条1項)。
エ 正しい。「当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する」(597条2項)。
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問題文正答率:50.00%
第26問 賃貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 処分の権限を有しない者は,短期賃貸借の存続期間を超える賃貸借をすることはできない。
- 賃貸物である不動産が譲渡された場合,譲渡人と譲受人との間で賃貸人たる地位を譲受人に移転させる旨の合意をしても,賃借人の承諾がなければ,賃貸人たる地位を譲受人に移転させることはできない。
- 不動産賃貸借の対抗要件を備えた賃借人は,その不動産を第三者が正当な権原なく占有しているときには,その第三者に対して返還の請求をすることができる。
- 耕作を目的とする土地の賃借人は,不可抗力によって賃料より少ない収益しか得られなかったときであっても,賃料の減額を請求することはできない。
- 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には,賃貸借はこれによって終了する。
選択肢
ア 正しい。「処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする」(602条柱書)。
ウ 正しい。「不動産の賃借人は、第六〇五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求」(605条の4第2号)。
ア 正しい。「処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする」(602条柱書)。
エ 誤り。「耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる」(609条)。
イ 誤り。「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により譲受人に移転させることができる」(605条の3前段)。
エ 誤り。「耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる」(609条)。
イ 誤り。「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により譲受人に移転させることができる」(605条の3前段)。
オ 正しい。「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」(616の2)。
ウ 正しい。「不動産の賃借人は、第六〇五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求」(605条の4第2号)。
オ 正しい。「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」(616の2)。
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問題文正答率:50.00%
第27問 寄託に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 寄託は,当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し,相手方がこれを承諾することによって,その効力を生ずる。
- 受寄者は,寄託者の承諾を得なくても,やむを得ない事由があるときは,寄託物を第三者に保管させることができる。
- 受寄者は,寄託物について権利を主張する第三者から訴えを提起された場合には,寄託者が既にこれを知っているときを除き,遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。
- 当事者が寄託物の返還の時期を定めた場合には,寄託者は,その返還の時期が到来するまで寄託物の返還を請求することができない。
- 複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には,受寄者は,各寄託者の承諾を得なくても,これらを混合して保管することができる。
選択肢
ア 正しい。「寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」(657条)。
イ 正しい。「受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない」(658条2項)。
ア 正しい。「寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」(657条)。
ウ 正しい。「寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない」(660条1項)。
イ 正しい。「受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない」(658条2項)。
エ 誤り。「当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる」(662条1項)。
ウ 正しい。「寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない」(660条1項)。
オ 誤り。「複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる」(665条の2第1項)。
エ 誤り。「当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる」(662条1項)。
オ 誤り。「複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる」(665条の2第1項)。
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問題文正答率:50.00%
第28問 組合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 金銭を出資の目的とした場合には,その出資を怠った組合員は,その利息を支払うほか,損害の賠償をしなければならない。
- 組合の債権者は,債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていた場合であっても,その選択に従い,各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。
- 組合員の債権者は,組合財産について,その組合員の持分の限度で権利を行使することができる。
- 組合契約において,当事者が損益分配の割合を定めなかったときは,利益及び損失は,各組合員に等しい割合で分配される。
- 脱退した組合員は,その脱退前に生じた組合の債務について,従前の責任の範囲内で弁済する責任を負う。
選択肢
ア 正しい。「金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない」(669条)。
ウ 誤り。「組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない」(677条)。
ア 正しい。「金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない」(669条)。
オ 正しい。「脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う」(680条の2第1項前段)。
イ 誤り。「組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による」(675条2項)。
ウ 誤り。「組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない」(677条)。
イ 誤り。「組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による」(675条2項)。
エ 誤り。「当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める」(674条1項)。
エ 誤り。「当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める」(674条1項)。
オ 正しい。「脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う」(680条の2第1項前段)。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第29問 不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 未成年者が他人に損害を加えた場合,その未成年者の親権者が損害賠償責任を負うことはあっても,未成年者が損害賠償責任を負うことはない。
- 故意又は過失によって一時的に自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態を招いた者は,その状態にある間に他人に加えた損害について賠償責任を負う。
- 使用者が被用者の加害行為につき使用者責任に基づいて第三者に損害賠償をした場合であっても,使用者の被用者に対する求償権は生じない。
- 請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合,注文又は指図について過失のない注文者は,その第三者に対する損害賠償責任を負わない。
- 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は,時効によって消滅しない。
選択肢
ア 誤り。「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」(712条)。したがって、未成年者であっても、責任能力を有する場合には、損害賠償責任を負う。
エ 正しい。「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」(716条)。
ア 誤り。「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」(712条)。したがって、未成年者であっても、責任能力を有する場合には、損害賠償責任を負う。
オ 誤り。「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「三年間」」とあるのは、「五年間」とする。」(724条の2)。
イ 正しい。「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない」(713条)。
ウ 誤り。「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」(715条1項本文)。「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」(同条3項)。
イ 正しい。「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない」(713条)。
エ 正しい。「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」(716条)。
ウ 誤り。「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」(715条1項本文)。「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」(同条3項)。
オ 誤り。「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「三年間」」とあるのは、「五年間」とする。」(724条の2)。
解説・コメント
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問題文正答率:50.00%
第30問 内縁関係にあるA男とB女に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- ABがBの賃借したアパートで同居していた場合において,Bが死亡してBに相続人がいないときは,Aは,そのアパートの賃借人の権利義務を承継する。
- ABの間に子Cが出生し,AがCを認知した場合には,Cに対する親権は,ABが共同して行う。
- ABがBの所有する建物で同居していた場合において,Bの死亡により内縁関係が解消したときは,Aは,Bの相続人に対して建物の所有権について財産分与を請求することができる。
- AがBに無断で婚姻届を作成して届出をした場合において,Bが後に届出の事実を知ってこれを追認したときは,届出の当初に遡ってその婚姻が有効となる。
- Aが日常の家事に関して第三者と取引をした場合,Bは,その取引によって生じた債務について責任を負わない。
選択肢
ア 正しい。「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしてないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」(借地借家法36条1項本文)。
ウ 誤り。最判平成12年3月10日は、「内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない」とする。したがって、設問の場合、Aは、Bの相続人に対して建物の所有権について財産分与を請求することはできない。
ア 正しい。「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしてないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」(借地借家法36条1項本文)。
エ 正しい。最判昭和47年7月25日は、「事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合においても、当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、後に右他方の配偶者が右届出の事実を知ってこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡って有効となる」とする。
イ 誤り。「父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う」(819条4項)。したがって、設問の場合、Cに対する親権は、ABの協議でAを親権者と定めない限り、Bが行う。
エ 正しい。最判昭和47年7月25日は、「事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合においても、当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、後に右他方の配偶者が右届出の事実を知ってこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡って有効となる」とする。
イ 誤り。「父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う」(819条4項)。したがって、設問の場合、Cに対する親権は、ABの協議でAを親権者と定めない限り、Bが行う。
オ 誤り。「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」(761条本文)。そして、本規定は、内縁の場合にも適用されるものと解されている。
ウ 誤り。最判平成12年3月10日は、「内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法七六八条の規定を類推適用することはできない」とする。したがって、設問の場合、Aは、Bの相続人に対して建物の所有権について財産分与を請求することはできない。
オ 誤り。「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」(761条本文)。そして、本規定は、内縁の場合にも適用されるものと解されている。
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問題文正答率:50.00%
第31問 親権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Aに対して親権を行うBは,Aに代わって,Aの子であるCに対して親権を行う。
- 親権を行う者は,子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う。
- 子は,職業を営むに当たっては,親権を行う者の許可を得ることを要しない。
- 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときであっても,子の祖父母は,親権停止の審判の請求をすることができない。
- 親権を行う父又は母は,やむを得ない事由があるときは,家庭裁判所の許可を得て,親権又は管理権を辞することができる。
選択肢
ア 正しい。「親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う」(833条)。
ウ 誤り。「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない」(823条1項)。
ア 正しい。「親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う」(833条)。
オ 正しい。「親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる」(837条1項)。
イ 正しい。「親権を行う者は、この利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」(820条)。
エ 誤り。「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる」(834条の2第1項)。そして、子の祖父母は、「親族」に該当する。
イ 正しい。「親権を行う者は、この利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」(820条)。
オ 正しい。「親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる」(837条1項)。
ウ 誤り。「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない」(823条1項)。
エ 誤り。「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる」(834条の2第1項)。そして、子の祖父母は、「親族」に該当する。
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問題文正答率:50.00%
第32問 妻Aと夫Bの間に子Cが,Bには父D及び弟Eが,Aには前夫との間の子Fがいる。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- Cは,Bから扶養を受ける権利をFに譲渡することはできない。
- AとBが離婚した時にCが未成年者であった場合において,Cの親権者をAと定めたときは,BはCに対する扶養義務を負わない。
- Dを扶養すべき者の順序については,子であるB及びEが先順位であり,孫であるCが後順位である。
- 家庭裁判所は,特別な事情があるときは,Eを扶養する義務をAに負わせることができる。
- Aを扶養してきたCが,過去の扶養料をFに求償する場合において,各自の分担額の協議が調わないときは,家庭裁判所が各自の資力その他一切の事情を考慮してこれを定める。
選択肢
ア 正しい。「扶養を受ける権利は、処分することができない」(881条)。
ウ 誤り。「扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所がこれを定める」(878条前段)。扶養義務者について、子が先順位で孫が後順位とする規定は無い。
ア 正しい。「扶養を受ける権利は、処分することができない」(881条)。
エ 正しい。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」(877条1項、2項)。
イ 誤り。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(877条1項)。したがって、設問の場合、Cの親権者をAと定めた場合でも、BはCに対する扶養義務を負う。
ウ 誤り。「扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所がこれを定める」(878条前段)。扶養義務者について、子が先順位で孫が後順位とする規定は無い。
イ 誤り。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(877条1項)。したがって、設問の場合、Cの親権者をAと定めた場合でも、BはCに対する扶養義務を負う。
オ 正しい。最判昭和42年2月17日は、「民法八七八条、八七九条によれば、扶養義務者が複数である場合に各人の扶養義務の分担の割合は、協議が整わないかぎり、家庭裁判所が審判によって定めるべきである。扶養義務者の一人のみが扶養権利者を扶養してきた場合に過去の扶養料を他の扶養義務者に求償する場合においても同様であって、各自の分担額は、協議が整わないかぎり、家庭裁判所が、各自の資力その他一切の事情を考慮して審判で決定すべき」とする。
エ 正しい。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」(877条1項、2項)。
オ 正しい。最判昭和42年2月17日は、「民法八七八条、八七九条によれば、扶養義務者が複数である場合に各人の扶養義務の分担の割合は、協議が整わないかぎり、家庭裁判所が審判によって定めるべきである。扶養義務者の一人のみが扶養権利者を扶養してきた場合に過去の扶養料を他の扶養義務者に求償する場合においても同様であって、各自の分担額は、協議が整わないかぎり、家庭裁判所が、各自の資力その他一切の事情を考慮して審判で決定すべき」とする。
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第33問 相続分に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 共同相続人は,遺言によって相続分の指定がされた場合には,協議によって,指定された相続分と異なる相続分の割合による遺産分割をすることができない。
- 共同相続人の一人であるAが相続放棄をした後,被相続人がAの相続分を指定する内容の遺言をしていたことが判明した場合には,Aは,その遺言に従って相続をする。
- 共同相続人の一人は,自己の相続分を他の共同相続人以外の第三者に譲渡することができない。
- 共同相続人の一人であるAが自己の相続分の全部を他の共同相続人Bに譲渡した場合には,Aは,遺産分割協議の当事者となることができない。
- 遺言によって相続分の指定がされた場合であっても,相続債権者は,指定された相続分に応じた債務の承継を承認しない限り,法定相続分に応じて権利を行使することができる。
選択肢
ア 誤り。「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」(907条1項)。「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる」(908条1項)。そして、相続分の指定は、902条1項に規定されている。したがって、設問の場合、協議によって、指定された相続分と異なる相続分の割合による遺産分割をすることができる。
イ 誤り。「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」(939条)。
ア 誤り。「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」(907条1項)。「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる」(908条1項)。そして、相続分の指定は、902条1項に規定されている。したがって、設問の場合、協議によって、指定された相続分と異なる相続分の割合による遺産分割をすることができる。
ウ 誤り。「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」(905条1項)。本規定は、共同相続人の一人が、自己の相続分を共同相続人以外の第三者に譲渡することができることを前提としている。
イ 誤り。「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」(939条)。
オ 正しい。「被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九〇〇条及び第九〇一条の規定により算定した相続分に応じて権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない」。(902条の2)。なお、902条は遺言による相続分の指定に関する規定、900条は法定相続分に関する規定、901条は代襲相続人の相続分に関する規定である。
ウ 誤り。「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」(905条1項)。本規定は、共同相続人の一人が、自己の相続分を共同相続人以外の第三者に譲渡することができることを前提としている。
エ 正しい。最判平成26年2月14日は、「共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできない」とする。
エ 正しい。最判平成26年2月14日は、「共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできない」とする。
オ 正しい。「被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九〇〇条及び第九〇一条の規定により算定した相続分に応じて権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない」。(902条の2)。なお、902条は遺言による相続分の指定に関する規定、900条は法定相続分に関する規定、901条は代襲相続人の相続分に関する規定である。
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第34問 被相続人Aの配偶者Bは,Aの死亡時に,Aの財産に属していた甲建物に居住していた。この場合における甲建物についてのBの配偶者居住権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- ABの子であるCが,Aの死亡時に甲建物をAと共有していた場合は,Bは,配偶者居住権を取得しない。
- 配偶者居住権を取得したBは,その配偶者居住権を譲渡することができる。
- 配偶者居住権を取得したBは,甲建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
- 相続によりAから甲建物の所有権を取得したDは,配偶者居住権を取得したBに対し,配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
- 遺贈によりBが配偶者居住権を取得した後,遺産分割によりB及び相続人Eが甲建物の共有持分をそれぞれ有するに至った場合は,その配偶者居住権は消滅する。
選択肢
ア 正しい。「被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない」(1028条1項柱書)。
ウ 正しい。「配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる」(1033条1項)。
ア 正しい。「被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない」(1028条1項柱書)。
エ 正しい。「居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下、この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う」(1031条1項)。
イ 誤り。「配偶者居住権は、譲渡することができない」(1032条2項)。
ウ 正しい。「配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる」(1033条1項)。
イ 誤り。「配偶者居住権は、譲渡することができない」(1032条2項)。
オ 誤り。「居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない」(1028条2項)。
エ 正しい。「居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下、この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う」(1031条1項)。
オ 誤り。「居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない」(1028条2項)。
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問題文正答率:50.00%
第35問 遺留分に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 相続人が配偶者と妹一人のみであった場合には,妹は,遺留分を算定するための財産の価額に8分の1を乗じた額を遺留分として受ける。
- 遺留分を算定するための財産の価額は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額である。
- 相続開始前における遺留分の放棄は,家庭裁判所の許可を受けたときに限り,その効力を生ずる。
- 共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合は,他の各共同相続人の遺留分が増加する。
- 遺留分権利者は,受遺者又は受贈者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
選択肢
ア 誤り。「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける」(1042条1項柱書)。
ウ 正しい。「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる」(1049条1項)。
ア 誤り。「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける」(1042条1項柱書)。
エ 誤り。「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」(1049条2項)。
イ 正しい。「遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする」(1043条1項)。
エ 誤り。「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」(1049条2項)。
イ 正しい。「遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする」(1043条1項)。
オ 正しい。「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」(1046条1項)。
ウ 正しい。「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる」(1049条1項)。
オ 正しい。「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」(1046条1項)。
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第36問 費用の負担に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 相続財産に関する費用は,相続人の過失によるものを除き,相続財産の中から支弁する。
- 債務者が債務の履行を提供したが,債権者が債務の履行を受けることができなかった場合,それによって増加した履行の費用は,債務者が負担する。
- 賃貸借契約の締結に関する費用は,当事者双方が等しい割合で負担する。
- Aの所有する甲土地を悪意で占有していたBは,甲土地をAに返還する場合には,甲土地に関して支出した通常の必要費の償還をAに請求することはできない。
- Aの所有する甲建物の配偶者居住権を有するBは,甲建物をAに返還する場合において,それ以前に支出した有益費につき,その価格の増加が返還時に現存するときは,Aの選択に従い,その支出した金額又は増価額について償還を受けることができる。
選択肢
ア 正しい。「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない」(885条)。
エ 誤り。「占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる」(196条本文)。占有者は、善意・悪意を問わず、必要費の償還を請求することができる。
ア 正しい。「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない」(885条)。
オ 正しい。「配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。2 第五八三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する」(1034条)。「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第一九六条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」(583条2項)。「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる」(196条2項本文)。
イ 誤り。「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする」(413条2項)。
ウ 正しい。「この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する」(559条本文)。「売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する」(558条)。
イ 誤り。「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする」(413条2項)。
エ 誤り。「占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる」(196条本文)。占有者は、善意・悪意を問わず、必要費の償還を請求することができる。
ウ 正しい。「この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する」(559条本文)。「売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する」(558条)。
オ 正しい。「配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。2 第五八三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する」(1034条)。「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第一九六条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」(583条2項)。「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる」(196条2項本文)。
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問題文正答率:50.00%
第37問 書面等による契約に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- 住宅の所有を目的として締結された定期借地権の設定契約は,公正証書によらなければその効力を生じない。
- 保証契約は,その合意が電子メールを相互に送受信する方法によってされた場合には,書面が作成されていなくてもその効力を生じる。
- 贈与契約において,贈与者の意思表示が書面によってされている場合には,受贈者の意思表示が書面によってされていないときでも,贈与者は,贈与契約の解除をすることができない。
- 金銭消費貸借契約は,書面によってされた場合であっても,借主が貸主から合意した金銭を受け取るまでは,その効力を生じない。
- 書面によらない有償寄託契約の受寄者は,寄託物を受け取るまでは契約の解除をすることができる。
選択肢
ア 誤り。「存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない」(借地借家法22条1項)。「公正証書による等書面」と規定されており、公正証書に限られない。
ウ 正しい。「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる」(550条本文)。贈与者の意思が書面で表示されていれば、受贈者の意思が書面で表示されていなくても足りるものと解されている。
ア 誤り。「存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない」(借地借家法22条1項)。「公正証書による等書面」と規定されており、公正証書に限られない。
エ 誤り。「前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約することによって、その効力を生ずる」(587条の2第1項)。「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」(587条)。
イ 正しい。「2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」(446条2項、3項)。
ウ 正しい。「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる」(550条本文)。贈与者の意思が書面で表示されていれば、受贈者の意思が書面で表示されていなくても足りるものと解されている。
イ 正しい。「2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」(446条2項、3項)。
オ 誤り。「無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない」(657条の2第2項)。契約の解除が認められるのは、書面によらない無償寄託契約の受寄者である。
エ 誤り。「前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約することによって、その効力を生ずる」(587条の2第1項)。「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」(587条)。
オ 誤り。「無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない」(657条の2第2項)。契約の解除が認められるのは、書面によらない無償寄託契約の受寄者である。
解説・コメント
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ア 正しい。「不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる」(30条1項)。不在者の推定相続人は、「利害関係人」に該当する。
イ 正しい。「戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする」(30条2項)。「前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす」(31条)。