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経営戦略 ITパスポート対策ストラテジ系-経営戦略編①

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2023-10-122023-10-02

経営戦略とは

経営戦略とは、企業が達成すべき目標の決定、及びその目標を達成するための方策を決めることです。

経営戦略は、資源配分など企業全体に関わる全社戦略(企業戦略)、個々の事業についての事業戦略、より具体的な個々の機能(財務、人事、マーケティングなど)についての機能戦略に分けて考えられることがあります。

経営戦略の分類(全社戦略、事業戦略、機能戦略)

経営戦略は一般に、理念・目標の決定→環境分析→戦略の選択・実行というプロセスで進められ、環境分析が経営戦略論のメインの話題となっています。

経営分析の手法

経営環境分析は、自社が持つ資源や能力に関する分析である内部環境分析とマクロな経済状況、政治、競合他社の状況など自社では操作できない事柄に関する分析である外部環境分析に分けて考えられるのが一般的です。

環境分析の分類(内部環境分析、外部環境分析)

SWOT分析

内部環境を強み(Strengths)と弱み(Weakness)、外部環境を機会(Opportunity)と脅威(Threat)という視線で整理するのがSWOT分析です。

プラス面マイナス面
内部環境強み弱み
外部環境機会脅威

3C分析

顧客(Customer)、競合(Competitor),自社(Company)の視点で、整理、分析を行うのが3C分析です。

顧客顧客のニーズ、購買行動などを分析。
競合競合他社や競争環境を分析。
自社自社の経営資源、強み、弱みなどを分析。

VRIO分析

Value(価値)、Rarity(希少性)、Inimitability(模倣困難性)、Organizations(組織)の4つの観点から企業の有する経営資源や競争力を分析する手法です。

Value(価値)その資源に価値はあるか。
Rarity(希少性)その資源に希少性があるか。
Inimitability(模倣困難性)その資源を模倣するのにどれだけのコストが必要か。
Organizations(組織)資源・能力を十分に活用することのできる組織体制が築かれているか。

PPM(Product Portfolio Management)

市場の成長率と自社製品の相対的市場占有率を軸に自社製品の位置づけを分類して資源配分の決定に役立てるのがプロダクトポートフォリオマネジメントです。

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント概念図)
花形市場成長率、市場占有率ともに高い。売上が立つが多くの投資が必要なため収益性が高いわけではない。
金のなる木市場成長率は低いが市場占有率は高い。追加投資があまり必要ないので多くのキャッシュを生む。
問題児市場成長率は高いが、市場占有率は低い。追加投資を行えば花形に化ける可能性もある。
負け犬市場成長率、市場占有率ともに低い。売却や撤退を検討する。

主な経営戦略

3つの基本戦略

ポーターによれば競争優位を築くための戦略には3つの基本形があるとされます。

差別化戦略独自の魅力や機能により競合他社製品との差別化を図り、価格以外の面で優位性を築く。
コストリーダーシップ規模の経済や経験効果を利用して、他社よりも低コストで生産できる体制を築く。
集中戦略市場を細分化して、その中の特定のセグメントに集中することで、コストや差別化面で優位性を築く。

競争地位別戦略

市場の占有率に応じて、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーに分類して戦略が考えられることもあります。

リーダー業界内で最大の市場シェアを有する企業。全ての顧客を対象に地位の維持やシェア拡大を目的に投資を行います。
チャレンジャーリーダーに挑戦しシェア拡大を狙う企業。リーダーが取りづらい思い切った施策でリーダーとの差別化を図る。
フォロワーあえて危険な挑戦はせず現状維持を志向する企業。技術開発にはあまり投資せずリーダーを模倣することで低価格化を図る。
ニッチャー特定のセグメントに集中することでそのセグメント内では優位性を発揮するニッチ戦略をとる企業。

同質化戦略

リーダー企業が、チャレンジャー企業が打ち出してきた差別化戦略を優位な経営資源により模倣することで無効化してします戦略です。

規模の経済

生産量を増やせば増やすほど製品1個あたりのコストが低下する現象を指します。規模の経済が働く環境下では一部の大企業の優位性が高まる傾向にあります。

経験曲線効果

累積生産量が増えるほど製品1個あたりのコストが低下する現象を指します。経験曲線効果を得るためには他社より早く生産を開始し経験を蓄積することが有効となります。

コアコンピタンス

他社が模倣することが難しい自社の中核的な能力や技術を意味します。コアコンピタンスを強化し最大限活用しようとする経営スタイルをコアコンピタンス経営ともいいます。

ブルーオーシャン戦略

競合の多い既存の市場(レッドオーシャン)で事業を行うのではなく、競合の少ない新しい領域(ブルーオーシャン)に事業を展開していくことで利益を狙う戦略です。

提携・統合・外部化

何を自社で行い、何を市場(他社)から調達するのかを決定することも経営戦略の重要な要素となります。

アウトソーシング

自社で行っていた業務の一部を外部の業者に委託することを意味します。付加価値の高くない業務をアウトソーシングすることで得意分野に特化することが可能となります。

M&A(Mergers and Acquisitions)

買収や合併によって外部の企業または事業を取り込むことを意味します。自社のサプライチェーンの川上または川下に位置する企業を取り込むことは垂直統合、同業他社の買収は水平的統合と呼ばれます。

関連用語としては、経営陣による自社買収を意味するMBO(Management Buyout)や条件を指定して株主から直接株式を買い取ることで企業買収を行う公開買付けTOB(Take Over Bid)などがあります。

アライアンス

複数の企業がが互いの利益のために契約に基づいて提携することを意味します。提携の形態は様々ですが、2社が巨力して新会社を設立することをジョイントベンチャーといいます。

OEM

Original Equipment Manufacturerの略で、相手先ブランドを受注生産することを意味します。これとは逆に自社で生産設備を持たず、製造は他社にまかるやり方をファブレスといいます。

フランチャイズチェーン

ノウハウやブランドを保有する企業が契約によってその使用を別企業に許可し、代わりにロイヤリティを得るビジネスモデルです。コンビニやファーストフード店などの飲食店でよくみられる形態で、フランチャイザーには少ない資本で規模を拡大し効率よく収益をあげられるメリットが、フランチャイジーにはフランチャイザーのブランドやノウハウを利用して商売できるメリットがあります。

フランチャイズの仕組み

その他関連用語

ITパスポート試験で出題される可能性がある経営戦略に関する用語には以下のようなものがあります。

ベンチマーキング

競合他社などのベストプラクティス(最良の事例)を分析し、自社の業務改善に活かす手法です。

コモディティ化

製品化で差異が少なく、消費者にどの企業から購入しても変わらないと判断されてしまう状態を指します。例えば、石油、貴金属地金などがこれに該当します。コモディティ化すると価格のみが判断材料となるので利益をあげるのが難しくなります。

ロジスティクス

原料の調達から供給、製品の販売にいたるまでの物流を効率的に管理する活動を指します。

カニバリゼーション

直訳すれば「共喰い」で、自社の製品やサービス同士が競合し、シェアを奪いあってしまう状況を指します。

ESG投資

収益性だけでなく環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)も考慮に入れて投資を行うことを意味します。

確認問題(過去問)

ITパスポート試験令和元年度秋期問12

企業の経営理念を策定する意義として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和2年問23

経営戦略と情報システム戦略の関係性の説明として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験平成30年春期問17

ある業界への新規参入を検討している企業がSWOT分析を行った。分析結果のうち,機会に該当するものはどれか。

ITパスポート試験令和元年秋問7

事業環境の分析などに用いられる3C分析の説明として,適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和2年度問21

横軸に相対マーケットシェア,縦軸に市場成長率を用いて自社の製品や事業の戦略的位置付けを分析する手法はどれか。

ITパスポート試験平成30年秋問26

中堅家電メーカ A 社では,自社の製品群に対する資金投資の優先度を検討するために,将来性と競争力によって製品をグループ分けしたい。 このとき用いる分析手法として, 最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和3年問23

プロダクトポートフォリオマネジメントは,企業の経営資源を最適配分するために使用する手法であり,製品やサービスの市場成長率と市場におけるシェアから,その戦略的な位置付けを四つの領域に分類する。市場シェアは低いが急成長市場にあり,将来の成長のために多くの資金投入が必要となる領域はどれか。

ITパスポート試験平成28年秋問34

PPM を用いて, 自社の資金を生み出す事業と, 投資が必要な事業を区分し,資源配分の最適化を図りたい。 このとき, PPM における資金や利益の有効な源となる“金のなる木”と名付けられた領域はどれか。

ITパスポート試験平成27年秋問14

ブルーオーシャン戦略の説明として、 適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和元年秋問10

企業のアライアンス戦略のうち,ジョイントベンチャの説明として,適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和4年問26

自社が保有していない技術やノウハウを、他社から短期間で補完するための手段として,適切なものはどれか。

ITパスポート試験平成27年春問17

企業の商品戦略上留意すべき事象である “コモディティ化” の事例はどれか。

ITパスポート試験平成30年度春問23

調達や生産,販売などの広い範囲を考慮に入れた上での物流の最適化を目指す考え方として,適切なものはどれか。

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