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回転率と回転期間による効率性分析の基本

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2023-05-072023-05-05

回転率の種類と計算法

回転率は資本や資産をどれだけ効率的に使えているかをみる指標です。分子には売上高等、分母には資本や資産がきて、基本的に数値が高い方が望ましい状態ということになります。

総資本回転率

総資本(総資産)をどれだけ効率的に使用して売上高を獲得できているかを知ることができます。

\[ 総資本回転率(回) = \frac{売上高}{総資本}\]

※総資本は期中、期末の平均を用いると正確ですが、期末の数値で計算される場合もあります。

経営資本回転率

総資本ではなく経営資本を分母に用いると本業の事業活動に使用している資本の効率性をみることができます。

\[ 経営資本回転率(回) = \frac{売上高}{経営資本}\]\[ 経営資本 = 流動資産+固定資産-建設仮勘定-投資その他の資産\]

固定資産回転率

固定資産が有効に活用できているかをみることができます。固定資産回転率が低いと使われていなかったり、十分に稼働していない設備がある可能性があります。

\[ 固定資産回転率(回) = \frac{売上高}{固定資産}\]

棚卸資産回転率

棚卸資産とは、要は在庫のことなので在庫がどれだけの速度で消化されていくかをみることができます。

\[ 棚卸資産回転率(回) = \frac{売上高}{棚卸資産}\]

買入債務回転率

買入債務(仕入債務)の支払い速度を測ることができる指標です。

\[ 買入債務回転率(回) = \frac{当期商品仕入高}{買入債務}\]

よく使われる回転期間と計算法

回転率の分母と分子を入れ替え逆数にすると回転期間になります。よく用いられる回転期間の指標には以下のものがあります。

棚卸資産回転期間

在庫が企業内に滞留している期間を測ることができます。一般的に、小売業や卸売業では短く、製造業では長い傾向があります。

\[ 棚卸資産回転期間(日) = \frac{棚卸資産}{売上高}×365\]\[ 棚卸資産回転期間(月) = \frac{棚卸資産}{1ヶ月当たりの平均売上高}\]

売上債権回転期間

売上債権とは売掛金や受取手形のことです。売上債権の回収にどれくらいの期間を必要としたかを測ることができます。

\[ 売上債権回転期間(日) = \frac{売掛金+受取手形}{売上高}×365\]

買入債権回転期間

買入債権(買掛金+支払手形)を清算するまでの日数を表す指標になります。

\[ 買入債権回転期間(日) = \frac{買掛金+支払手形}{売上高}×365\]

回転率を上げるにはどすればいいか

回転率の計算式からわかるように基本的な対応は以下の2つになります。

売上を増やす

資本回転率が低いということは、資本の大きさに見合った売上をあげられていないということなので、持っている資産を有効活用して(あるいは組み替えて)売上を増やす方策を考えていく必要があります。

資本(資産)を減らす

資産を有効に活用することが難しい場合は、不要資産を処分してそのお金で借入金を返しバランスシートを縮小するのも一つの策です。

回転率・回転期間の目安

財務分析を行う際には、ただ数値を出すだけではなくそれを一般的な平均や業界の平均と比較してみることが重要です。

総資本回転率(回)固定資産回転率(回)売上債権回転期間(日)棚卸資産回転期間(日)買入債務回転期間(日)
全業種1.02.147.131.338.0
建設業1.13.643.437.039.9
製造業0.92.162.641.943.0
情報通信業1.02.847.533.326.7
運輸業1.11.945.42.328.4
卸売業1.65.257.121.950.2
小売業1.73.922.926.325.0
不動産・物品賃貸業0.30.430.697.626.7
専門・技術サービス業0.61.052.28.026.7
宿泊・飲食サービス業0.91.318.35.914.5
生活関連サービス・娯楽業0.81.414.37.914.6
その他サービス業1.02.939.85.228.3

出典:中小企業実態基本調査 令和3年調査確報及び宇田川荘二著 中小企業の財務分析第六版

確認問題

自作

以下の情報を基に総資本回転率、固定資産回転率を求めよ。

今期の売上高:1,045,000千円

貸借対照表(単位:千円)
資産の分負債・純資産の部
現金預金285,000買掛金150,000
売掛金185,000長期借入金320,000
商品5,000資本金400,000
建物400,000資本剰余金50,000
備品75,000利益剰余金30,000
 資産合計950,000  負債純資産合計950,000

総資本回転率 =

\[\frac{1,045,000}{950,000} = 1.1\]

固定資産回転率 =

\[\frac{1,045,000}{475,000} = 2.2\]

中小企業診断士「財務・会計」令和元年設第11問設問2

第11問 当社の貸借対照表および損益計算書は以下のとおりであった。下記の設問に答えよ。

貸借対照表損益計算書

(設問2)20X1 年から 20X2 年の総資本営業利益率の変化とその要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。

総資本営業利益率は、営業利益÷総資本で求めることができます。それぞれ計算すると20X1年が16,000÷160,000で0.1、20X2年が21,000÷200,000で0.105となり上昇していることが分かります。

売上高営業利益率は、営業利益÷売上高で求めることができるので、計算すると20X1年が16,000÷128,000で0.125、20X2年が21,000÷210,000で0.1となり低下していることが分かります。

総資本回転率は、売上高÷総資本で求めることができるので、計算すると20X1年が128,000÷160,000で0.8、20X2年が210,000÷200,000で1.05となり上昇していることが分かります。

よってイが正解となります。

中小企業診断士 財務・会計過去問 令和元年度

https://ja.mondder.com/questions?id=133

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