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資本利益率の計算方法と目安 確認問題付き

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2023-09-272023-05-04

資本利益率の種類と計算法

資本利益率はROI(Return On Investment)とも呼ばれ、いずれも分子に利益、分母に資本がきますが、いくらかのバリエーションがあります。

\[ 総資本営業利益率(\%) = \frac{営業利益}{総資本}×100 \]\[ 総資本経常利益率(\%) = \frac{経常利益}{総資本}×100 \]\[ 総資本当期純利益率(\%) = \frac{当期純利益}{総資本}×100 \]

一般にはこの総資本当期純利益率がROA(Return On Assets)と呼ばれますが、当期純利益ではなく事業利益を分子にとった以下の式がROAとされることもあります。

\[ 総資本事業利益率(\%) = \frac{事業利益}{総資本}×100 \]\[ ※事業利益 = 営業利益+受取利息・配当金 \]\[ 経営資本営業利益率(\%) = \frac{営業利益}{経営資本}×100 \]\[ ※経営資本 = 流動資産+固定資産-建設仮勘定-投資その他の資産 \]\[ 自己資本当期純利益率(\%) = \frac{当期純利益}{自己資本}×100 \]

この自己資本利益率は、ROE(Return On Equity)と呼ばれます。

資本利益率・資本回転率・売上高利益率の関係

資本利益率と資本回転率、売上高利益率の間には以下の関係が成り立ちます。

\[ 資本利益率 = 売上高利益率 × 資本回転率 \]

なぜこうなるかは、各指標を計算式になおしてみると簡単にわかります。

\[ \frac{利益}{資本}= \frac{利益}{売上高}× \frac{売上高}{資本} \]

目安

財務分析を行う際には、ただ数値を出すだけではなくそれを一般的な平均や業界の平均と比較してみることが重要です。

資本利益率は投下した資本によってどれだけ利益をあげられているかをみるものなので、高い方が望ましいということになります。

総資本営業利益率総資本経常利益率総資本当期純利益率自己資本当期純利益率
全業種2.13.21.74.2
建設業4.05.23.58.0
製造業2.23.51.83.9
情報通信業4.55.73.16.0
運輸業-0.31.31.02.8
卸売業2.63.10.71.9
小売業1.13.21.34.1
不動産・物品賃貸業2.32.31.65.1
専門・技術サービス業3.14.53.46.7
宿泊・飲食サービス業-8.2-3.5-4.1-29.3
生活関連サービス・娯楽業-2.10.0-1.13.2
その他サービス業3.55.33.58.9
出典:中小企業実態基本調査 令和3年調査確報及び宇田川荘二著 中小企業の財務分析第六版

※大企業を含まない調査であり対象期間がコロナ禍の影響を受けている時期なことに注意。

財務分析指標の中での資本利益率の位置づけ

資本利益率は企業の収益性をみるための指標と位置付けられています。

他に収益性に関するメジャーな指標としては、売上高営業利益率などの売上高利益率があります。

財務分析指標全体図

確認問題

以下の資料を基に総資本営業利益率、自己資本当期純利益率を計算して下さい。

損益計算書(単位:千円)
売上高800,000
売上原価616,000
売上総利益184,000
販売費及び一般管理費153,600
営業利益30,400
営業外収益6,600
営業外費用1,800
経常利益35,200
特別利益1,200
特別損失19,600
税引前当期純利益16,800
法人税・事業税6,720
当期純利益10,080
貸借対照表(単位:千円)
資産の分負債・純資産の部
現金預金285,000買掛金150,000
売掛金200,000長期借入金320,000
商品5,000資本金400,000
建物400,000資本剰余金50,000
備品60,000利益剰余金30,000
資産合計950,000  負債純資産合計950,000

総資本営業利益率= %

\[ \frac{30,400}{950,000}×100 = 3.2\]

自己資本当期純利益率 = %

\[ \frac{10,080}{480,000}×100 = 2.1\]\[ ※自己資本 = 400,000 + 50,000 + 30,000 = 480,000\]

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